私は唐揚げを作る時は唐揚げ粉を使わずに、調味料を混ぜて片栗粉と薄力粉をまぶす。個人的にはそっちの方が美味しいと思っているからだ。でも最近、結局は日清の唐揚げ粉の方が美味しいんじゃないかということに気づき始めた。いろんな人たちが結局これが一番うまいと太鼓判を押している中、自分は過大評価されすぎではと思っていた。私は子供の時はこの唐揚げこで作られた唐揚げをバクバク食べてきたはずなのに、ずっとそれを突き放すような考えをしてしまっていた。

 母親の唐揚げは物心ついた頃から、市販の唐揚げ粉ではなく、ちゃんと調味料を混ぜて味付けしたものに変わっていた。私は特にそれで何も文句はなかったのだが、心の中ではまたあの唐揚げを食べたいと思っていた。しかし母親の唐揚げを食べていくうちにそんな気持ちは薄れていき、自分から作った方が一番美味しいと思うようになった。実際、それは間違いのないことなのだが、そう思った時点で自分に特に優れた料理スキルや知識を持っていなかったのがマズかった。

 そしてあの「日清の唐揚げ粉食べたい欲」というのは昨日のスーパーで見たことで急激に上がった。そういえばまだあの唐揚げを食べれていないという未練があったことを思い出した。確かに自分から調味料で作った唐揚げは美味しいのだが、自分の技術上何かしら失敗が起こる。なぜか味が濃かったり薄かったり生だったりして自分が本当に美味しいと思える唐揚げに出会える確率は実は低い。でも日清の唐揚げ粉なら、確実な成功が保証される。味が大幅に変わることもなく、自分が求めている味が一定に保たれるのだ。

 なんか市販のものよりも自炊の方が美味しいといっている人がいるけど、それはいっている人が料理上手なだけで、大人になっても料理方法が炒めると揚げるしかレパートリーがない自分は料理で失敗することが多い。失敗するくらいなら市販の方が安定して美味しいじゃないかと思ってしまうのだ。

 自炊できる人は家庭的でかっこいいというイメージがあり、私もそういうのに耽っていたのかもしれない。これからはそう考えるのはやめにして、もっと欲望に忠実に生きよう。結局唐揚げは日清の唐揚げ粉が一番手軽で美味しい。自分から作る唐揚げが一番美味しいと思えるのは、自分の料理スキルが向上してからだ。